【インプレ】才色兼備なホイールShamal Mille C17【シャマルミレ】

PINARELLO GAN RS用にCampagnoloのShamal Mille (シャマルミレ、以下「ミレ」) C17を購入しました。先日の支笏湖ライドで漸く実走することが出来たので、インプレ・レビューしたいと思います。あくまで一般ホビーライダーの視点から、ですが。

支笏湖ライド(2018年GW)

2018.05.03

ミレを選んだ理由

新しいロードバイクを購入後、最初にアップグレードするのは“ホイール”と相場は決まっている。私も、折角のカーボンロードバイクに初期ホイールのRS010では少々不釣り合いであると感じ、納車前から新しいホイールを検討していました。それ以外にも、「上位グレードのホイールというものはどんなものなのか」という単純な興味もありました。

新しいホイールを検討する上で、重要視したのは「ヒルクライムへの適性」と「見た目」です。

自分には平地よりも登りの方が向いていると思うので、まずはヒルクライムに特化したカスタムにしようと思いました。それならそもそもGAN RSではなく軽量ロードバイクを買えって話ですが(笑)ヒルクラムに適している、すなわち軽量かつリムハイトが低いものということになります。具体的には、前後合わせて1500g未満かつリムハイト35mm以下。

見た目より性能だろ!と思う方もおられるかもしれませんが、ホビーライダーにとっては見た目はモチベーションに直結するので重要な事項なのです。見た目に関して言えば、やはりブラックリムが至高。となると、真っ先に思い浮かぶのはカーボンホイール。しかし、当然のことながらかなりの高額である。出来れば、価格がそれほど高くないブラックリムホイールが望ましい。

それらの条件に合うホイールということで、ミレに決定しました。因みに、同系のレーシングゼロナイト(フルクラム)やPrimeの低価格カーボンホイールも候補にありましたが、G3組みに一目惚れしてしまったが故に、その時点でカンパのホイール以外の選択肢はありませんでした。

全体像と各部詳細

マットブラックカラーにより、全体的に上品で落ち着いた外観にまとまっている。さらに、後輪のG3組みのスポークが他のホイールとは異なる特別な印象を与える。

プラズマ電解酸化処理されたブレーキ面。表面には細かい溝が存在する。ブレーキシューとの接触面積が増えることにより、制動力が向上する。

リムの内側。リムテープの必要のない構造となっている。

カーボン製のハブボディ。ハブ内部にはUSB(Ultra Smooth Bearings)が採用されている。ユーラス以下の下位グレードに採用されているスチールベアリングとは異なり、セラミックベアリングが採用されている。果たしてその効果は如何程か?因みに更に上位になると、セラミックベアリングに加え、特殊なカップアンドコーンを使用したCULTなるものが存在する。いつか試してみたいものである。

実重量

カタログには重量1459gと書いてあり、計測する必要性はあまりないのだが、一応実重量を測ってみた。

フロント 643.3g。

リア 848.8g。

合計で1492.1g。カタログ重量と比較して+33.1g。まあ、許容範囲内でしょう。

GAN RSに履かせてみた結果

〈Before〉

〈After〉

やはり、ブレーキ面が黒いと統一感が出て、全体に引き締まった印象を受けますね。しかも、ミレ自体マットブラックなので、同じマットブラックのGAN RSと非常に色の相性が良い。これだけでも購入した甲斐があるというもの。

実走インプレ

ファーストインプレッション

外観だけでなく性能面に関しても、申し分ありません。先日の支笏湖ライドで100kmオーバーの距離を走りましたが、その恩恵を垣間見ることが出来た気がします。

まず、ホイール自体が軽量化されたことで、当然のことながら漕ぎ出しは軽快になりました。ただ、それ以上に顕著に感じたことは、ブレーキ性能高速域での伸びに関してです。

ブレーキ性能に関しては、公式でも謳っている通り、通常のアルミリムと比べて格段に向上しています。勿論、アルテグラのブレーキ機構の影響も相乗効果としてあると思いますが。通常のアルミリムだとブレーキをかけている際多少金属面上を滑っている感覚がありますが、ミレの場合、まるでヤスリでブレーキをかけているような感覚があります(実際にそれでシューが尋常ではない速さで削れていくわけなんですが)。最初の頃は、そのあまりのかかり具合に焦った程です。ブレーキングに関して、より安心感が得られるのは間違いないでしょう。ウェットな環境においても効果を発揮するようですが、残念ながらまだそういった環境で使用したことはないので、使用した時にまたレビューしたいと思います。

高速域での伸びに関しては、正直驚きました。おそらく今回私にとって最も衝撃的だった点です。購入以前から他のレビュー等で、「高速域になったら速度の維持がしやすくなった」というようなコメントをよく目にしましたが、まさにその通りでした。ある一定の速度までは違いはよく分からないのですが、それを超えると急にギアが一、二枚軽くなったような感覚が味わえます。漕がなくても自然と慣性だけで前に進む感じ。まるでエアロ効果のような。これは本当に面白い。しかし、エアロ効果が得られるほどリムハイトが高いというわけでもないですし、これがUSBの恩恵というわけでしょうか。

その他に気付いた点として、ラチェット音に関して一点。カンパのラチェット音はうるさいと噂には聞いていたのですが、実際のところはかなり静か。ほぼ無音といってもいいくらいです。これは私にとって嬉しい誤算でした。もしかすると、使用と共に変化していくのかもしれませんが、それは今後も様子を見ていきたいと思います。

総評として、ヒルクライムにも向いていますし、平地での巡行も楽にこなしてくれますし、見た目も言うことないので、色々な意味でオールマイティなホイールだと思います。欠点を挙げるなら、専用のブレーキシューが高価で、減りが早い(らしい)ことくらいでしょうか。

さて、ここまで長々とレビューしてきましたが、重要なことは私のような一般ホビーライダーでもこれだけの効果を実感出来たことです。値段相応、あるいはそれ以上の価値はあるかと思われます。今回はあまり距離を走っていない段階でのレビューでしたので、その真価を全て紹介出来てはいないと思います。よって、今後も引き続き経過観察を行なっていき、また定期的に再レビューを行なっていきたいと思います。

500km走行後インプレ

その後、基本イベントでしかミレは使用していませんが、グランフォンド摩周・グランフォンドきよさと・十勝中札内グルメフォンド・絵本の里けんぶちぐるっとライドと4つのイベントに参加し、少なくとも500kmは走ったので、再インプレしようと思います。

相変わらず、高速域の伸びは良い。そのお陰か、それほど漕がずに前の人を追い越せるといったシーンもしばしば。また、前回のインプレ時には気付かなかったことだが、高速域に入ると、フォーーーーーンという風切り音のような音が発生する。正直それが、本当にホイール全体から発せられる風切り音なのか、ハブの音なのか、地面とタイヤの接触による音なのかは分からない。が、ひょっとすると、それが高速域の伸びの良さと関係しているのかもしれない。

ブレーキ性能に関しても、新たな発見があった。7月に参加したグランフォンドきよさとにて、途中雨に見舞われ、期せずしてウェットなシーンにおけるブレーキ性能を試す機会を得た。実際に走ってみた感想としては、一言でいうと、ドライ環境下と全く変わりない。そう、雨天時においても非雨天時とほぼ同様のブレーキ感覚なのである。正直その違いが分からない。雨天時に通常のアルミリムでブレーキした際に感じるあの滑って止まらない感じは全くない。よって、ブレーキ時の安心感が半端ない。また、ブレーキ時間も減ることから、精神的負担だけでなく、肉体的負担も軽減されることも期待される。雨天・非雨天関係なく良く止まる。それがシャマルミレである。

専用ブレーキシューの減り具合についてだが、確かに減りは通常のシューよりも早いようだ。削れたシューのカスが溝に溜まりやすい。よって、ブレーキ性能を維持するためにも、頻繁にチェックして、溜まっていたらそれを取り除かなければいけない。日頃のメンテナンスはしっかりする必要があるようだ。流石にまだ交換時期ではないようだが、今後も減り具合を注視していきたい。