【インプレ】Astvte SKYLITE 3.0 VT i-PROF【サドルの硬さ比較】

今回は、Astvte (Astute, 以下アスチュート)のSKYLITE 3.0 VT i-PROF(以下スカイライト3.0VT)の紹介をしたいと思います。

私がこのサドルを購入したきっかけは、PINARELLO GAN RSに元々付いていたfi’zi:k(フィジーク)のアンタレスR7が、自分には少々合っていなかったらしく、ロングライドに行く度に大体70~80km程度走ったあたりから尻が痛くなってました。そこで、軽さと快適性を兼ね備えたサドルの購入を検討し、どうせ買うならGAN RSに外観的にも合ったサドルを購入しようと考えました。

外観

SKYLITE 3.0 VT i-PROFオモテ面

SKYLITE 3.0 VT i-PROFウラ面

フラットな座面の穴あき仕様サドル。レールはフルカーボン製。美しいカーボンの網目模様が所有欲を満たしてくれる。

カラーは BLACK/RED FLUO。ウラ面全面にフルオレッド(蛍光赤)が配色されているが、一見すると派手過ぎるという印象はない。むしろチラ見レベルなところが丁度良いアクセントになっている。因みに。このフルオレッドは純粋な赤というわけではなく、若干オレンジががかった赤となっている。この他のカラーバリエーションとして、「BLACK/BLACK」もある。

同SKYLITE 3.0シリーズのVT無印やVT FLUOとは異なる点は、サドル後部にブランドロゴが入っているか否か。それ以外の機能的な面で違いはない。

実測重量

メーカー公表値は、185 g(平均)。

スカイライト3.0VTの実測重量

実際に計測したところ、重量は193.2 g(メーカー公表値との差は+8.2 g)であった。

以前のフィジーク・アンタレスR7は224.9 g(実測値)だったので、今回31.7 gの軽量化となった。

サドルの硬さ

計測方法

硬度計測に用いたデュロメーター

デュロメーター(硬度計)Cタイプ※を用いて、サドルクッションの硬さを計測した。

※内蔵されている加圧スプリングによって硬度を数値化する。単位はなく、0~100の間の数値で示される(数値が高いほど硬い)。Cタイプは、発泡体・スポンジ・多孔質材料用に適している。

計測方法は、各々最低6 mm離れた異なる箇所で5回計測、それを2セット行い、計10箇所における計測値を得た。その後、箱ひげ図を作成。必要に応じ、ウェルチのt検定を用いて2標本間の平均値の差を検定した。

計測個所は下図の3箇所に設定した。

計測箇所を示したサドル模式図

穴あきサドルのようにその中央で計測できない場合は、その左右どちらかで計測を行った。

計測結果

今回はアスチュート・SKYLITE 3.0 VT i-PROFの他に、比較用としてPINARELLO GAN RSの初期サドルであるフィジーク・アンタレスR7と通勤用として使用しているGT GTR Series 4の初期サドル(モデル不明)も計測した。

サドル3種におけるパッド硬度の箱ひげ図

 

スカイライト3.0VTのサドル前部(ave. = 34.9)と後部(ave. = 39.6)の硬さには有意差(P<0.01)があり、後部よりも前部の方が柔らかい。これは、アスチュート独自のテクノロジーである「3層密度プログレッシブ・メモリー・フォーム」の効果が反映されている。それら以上にサドル中心(ave. = 29.9)が柔らかいが、これはシェル部分の柔らかさに関連してサドル自体のしなり易さが計測に影響を与えているかもしれない。いずれにせよ、サドル中央から前方にかけて快適性が高い仕様になっている。

アンタレスR7からスカイライト3.0VTに換装した際、正直最初の印象としては硬さはあまり変わらないと感じた。実際に計測してみたところ、前部や中心の硬さこそ違ったものの、サドル後部の硬さに関してはほとんど変わらなかった。あながち私の感覚は間違っていなかったようだ。全体的にみると、やはりスカイライト3.0VTの方が柔らかめのようだ。

GT初期サドルと比較するとかなり硬めのようだ。よって、エントリーモデルのロードバイクに初期搭載されているサドルから交換する際は、硬いと感じてしまうかもしれない。

サドルの快適性に関しては、サドルの形状、使用者の体型やフォーム等も関わっているため、一概に「パッドの柔らかさ=快適性」とは言えないのが難しいところ。これらの数値はあくまで参考程度に捉えてほしい。

インプレッション

見た目の相性

ブラックレッドのバイクとは色の相性抜群

GAN RSとの見た目の相性で言えば、これ以上ないといったところ。物足りなかったサドル周りにも、丁度良い具合にアクセントを与えてくれる。前述の通り、フルオレッドは光の具合によっては多少オレンジがかって見えるが、太陽光下においてはそれもあまり気にならない。赤黒カラーのロードバイクと組み合わせば、同様に合うこと間違いないだろう。

乗り心地

後方から見たスカイライト3.0VT

スカイライト3.0VTに交換後、ロングライド時に相変わらず尻の痛みは発生するのだが、以前よりもその痛みはだいぶ軽減されたように感じる。これはやはり、そのパッドやシェル部分の柔軟性が反映されているのかもしれない。ただ、交換前と若干フォームも変えているので、その影響の可能性も否定できない。

また、穴あきサドルと聞くと、その接触面積の小ささから尻への負担が増えそうな印象を抱いてしまうが、このサドルに関しては全くそういうことはなく、座った感触は穴なしサドルと何ら変わらない。それでいて、尿道への圧迫が軽減されるので構造なのでお得な感じがする(私はもとより股間の痺れ等の症状は無かったので、その点に関する効果の良し悪しは分からない)。

その他、このサドルに関して特筆すべき点がもう一つある。それは、走っている際の微振動(ロードノイズ)が幾らか軽減される点である。勿論、路面の凹みの上を通った際の衝撃(ショック)に対しては流石に効果はないが、路面の粗さによる微かな振動は以前より軽減されたように感じる。これは、ひょっとするとレール後部付け根に配置されているS.P.A.S (ショック・パッド・アブソーバー・システム)の効果かもしれない。その因果関係は定かではないが、微振動の軽減は乗り心地の向上に貢献している。