(※上の写真はイメージです。本記事で取り上げられている車種とは異なります。)
先日、新しくオフロード系ロードバイク2種がPinarello.comで発表されました。その名も「GREVIL」と「CROSSISTA」。それらの特徴について簡単にまとめ、加えてそのスペックの違いについても着目しました。
グラベルロードのGREVIL
Full Gas… everywhere. GREVIL is here! https://t.co/Y95eITq4fv pic.twitter.com/S5M1lHQX2E
— Pinarello (@Pinarello_com) 2018年10月24日
この度、ピナレロは新たに「GRAVEL(グラベル)」カテゴリーを追加し、「GREVIL+」および「GREVIL」という全く新しい車種をリリースした。
GREVILシリーズの主な特徴は下記の通りである。
- DOGMA F10(以下、F10)同様、ForkFlapやCONCAVEダウンチューブによる洗練されたエアロダイナミクス性能
- ディスクブレーキ採用による高い制動力
- 扁平チェーンステーのFlexstayや特殊形状のシートポストに加え、MTB由来のテクノロジーであるTwin Arms採用による高い振動吸収性能
- 幅広タイヤ(700c×42mmあるいは650b×2.1in)対応による高い走破性
PINARELLO GREVIL+ Overview from Pinarello on Vimeo.
シクロクロスのCROSSISTA
Introducing the Pinarello Crossista, with our new ‘Design 4 Cyclocross’ frameset and geometry #Pinarello #iconmakers #crossista #cyclocross pic.twitter.com/82tL1wvI8t
— Pinarello US (@Pinarello_US) 2018年10月22日
GREVIL発表とほぼ同時期に、シクロクロス用の「CROSSISTA+」と「COROSSISTA」も発表された。こちらは、既存のFCX(日本では販売なし)に置き換わる新たな車種となる。要は、フルモデルチェンジ的な扱いである。
CROSSISTAシリーズの主な特徴は下記の通りである。
- シクロクロス用にデザインされ、持ち運びやすいフレーム形状
- DOGMA F8やDOGMA K8(以下、F8、K8)同様、FlatBackや3XAir採用による高いエアロダイナミクス性能
- 扁平チェーンステーのFlexstayや特殊形状のシートポスト採用による高い振動吸収性
- ディスクブレーキによる高い制動力
- UCI規定の700c x 32 mmに対応し、レースで使用可能
GREVILとCROSSISTAの違い
同じオフロード系のGREVILとCROSSISTA。一見すると、外観も非常に似ているように見える。そこで、その違いを明確化させるために、表にして比較を行った。参考に、同じディスクブレーキ仕様のフラグシップエンデュランスロード・DOGMA K10S DISK(以下、K10S)も追加した。
DOGMA K10S DISK | GREVIL+ | CROSSISTA+ | |
---|---|---|---|
フレーム素材 | Carbon Torayca T1100 1K | Carbon Torayca T1100 1K | Carbon Torayca T1100 1K |
フレーム構造 | アシンメトリック | アシンメトリック | アシンメトリック |
フォーク | Fork ONDA F10 | 専用ONDA Fork | 専用ONDA Fork |
Think2™(*1) | ✓ | ✓ | ✓ |
E-Link™(*2) | ✓ | ✓ | ✓ (専用) |
ICR™ (*3) | ✓ | ✓ | ✓ (専用) |
Drop in Bearing System | 1” 1/8 – 1”1/2 | 1” 1/8 – 1”1/2 | 1” 1/8 – 1”1/2 |
ボトムブラケット | イタリアン | イタリアン | イタリアン |
対応クラックセット | 2x/1x | 2x/1x | 2x/1x |
シートクランプ | TwinForce | 専用シートクランプ | 専用シートクランプ |
シートポスト | 専用エアロシートポスト | 専用エアロシートポスト | 専用エアロシートポスト |
3XAir™(*4) | ✓ | ✓ | |
Flatback™(*5) | ✓ | ✓ | ✓ |
Flexstays(*6) | ✓ | ✓ | ✓ |
ForkFlap™(*7) | ✓ | ✓ | |
CONCAVEダウンチューブ(*8) | ✓ | ✓ | |
RAD SYSTEM Disk brake | ✓ | ✓ | ✓ |
フロントアクスル | Ø12 x 100 mm | Ø12 x 100 mm | Ø12 x 100 mm |
リアアクスル | Ø12 x 142 mm | Ø12 x 142 mm | Ø12 x 142 mm |
ディスクブレーキマウント | フラット/160 mm (最大) | フラット/160 mm (最大) | フラット/160 mm (最大) |
タイヤ | 700c x 28 mm | 700c x 42 mm/650b x 2.1” | 700c x 42 mm |
独自仕様 | eDSS 2.0/DSS 1.0(*9) | Twin Arms(*10) | ホールドオンショルダートップチューブ |
UCI承認 | ✓ | ✓ | |
引用元 | DOGMA K10S DISK — CICLI PINARELLO SRL | GREVIL+ — CICLI PINARELLO SRL | Crossista + — CICLI PINARELLO SRL |
*1, 電動式及び機械式コンポーネントの両方に対応した機構。
*2, ダウンチューブにDi2ジャンクションを埋め込む機構。
*3, Internal cable routing (内装ケーブルルーティング)。
*4, シートチューブに3つのボトルケージ用ネジ穴を搭載することで、通常の固定位置に加え、よりエアロダイナミクス性能を高めた低い固定位置も利用可能にした。
*5, フレームチューブの背面を平らにカットしたような形状にすることでエアロダイナミクス性能と剛性を高めた構造。所謂、カムテール形状。
*6, チェーンステーを水平方向に扁平な形状にしたことで振動吸収性能を高めた機構。
*7, エアロダイナミクス性能を高めるためにフォークエンドにつけられたフィン。
*8, ボトル装着時のエアロダイナミクス性能が考慮された凹んだ形状のダウンチューブ。
*9, 電子制御式サスペンションおよび非電子制御サスペンション(エラストマーサスペンション)。
*10, シートステーの高さをアシンメトリックにすることで振動吸収性能を向上させた機構。
フレーム素材は、F10やK10と同じTorayca T1100カーボン(下位モデルのGREVIL無印、CROSSISTA無印は除く)。よって、GREVIL+とCROSSISTA+はフラグシップ扱いとなり、価格も相応と考えられる。
フォークは、F10のフォークをそのまま流用するというわけではなく、それぞれ専用設計のONDAフォークとなっている。専用設計の詳細は定かではないが、フォーク基部がGREVILではフレームと一体化するような形状(所謂、エアロ形状)になっているのに対し、CROSSISTAでは一般的な形状となっている。
シートクランプは、調節機構を前方に配置した専用のものとなっている(GANシリーズやPRINCEシリーズと同タイプ?)。泥道等を走るグラベルロードやシクロクロスでは、シートチューブ後方に調節ネジのあるTwinForceは適さないということだろう。
シートポストも専用仕様となっている。形状から察するに、おそらく両者同じものが採用されている。その特徴としては、K10Sと同様、背面側がくぼみ、シートポスト上部でボトルネック(ビン首)形状となっている。
3XAir™は、GREVILで非対応となっている。これは、リアホイールに沿って湾曲しているシートポストが影響しているかもしれない。
Flexstaysは、両方の車種で採用されている。元々悪路での快適性を向上させるためにK8シリーズに初めて搭載されたものを、K10シリーズに続き、GREVILとCROSSISTAにも採用したというわけである。
ForkFlap™及びCONCAVEダウンチューブは、GREVILには採用されているが、CROSSISTAには採用されていない。この点、GREVILはK10の派生形というような印象があるが、CROSSISTAに関してはK10というよりはK8の派生形という印象である。実際、CROSSISTAの前身であるFCXはK8の前身であるDOGMA Kの派生形である。スキップしてK10に倣わなかったという意味では、順当な進化といえる。
TwinArmsは、GREVILに採用されている。ぱっと見では分かりにくいが、よく見ると左側のシートステーの方が右側のそれよりもやや高い位置にあるのが分かる。この技術を取り入れたことで、GREVILはエンデュランスロードのK10とMTBのDOGMA XCの中間的ポジションとなった。TwinArmsがロードバイクで採用されたのはこれが初となる。
ホールドオンショルダートップチューブは、CROSSISTAに採用されている。 バイク輸送時の安定性を高めるこの機能は、シクロクロスならではといえる。
UCI承認に関しては、GREVILでは承認なしだが、CROSSISTAでは承認ありとなっている。よって、趣味用途であればGREVIL、レース用途であればCROSSISTAという選択肢になる。
日本での販売は?【2018年12月2日追記】
coming soon!
詳細な情報は今しばらくお待ちください! https://t.co/fVXwuqA7kK— PINARELLO JAPAN (@PINARELLO_JAPAN) 2018年10月22日
new Pinarello icon is here
詳細の発表はしばらくお待ちください! https://t.co/1B69SjrNyr— PINARELLO JAPAN (@PINARELLO_JAPAN) 2018年10月25日
発表当初、上記のように日本の公式アカウントにてアナウンスがあったが、2週間以上経過した現在(2018年11月4日時点)も、各サイクルメディアから当該車種に関する情報は出ていない。BOLIDE TR発表の際は、まもなくして各メディアが取り上げていた。そのことから察するに、GREVIL及びCOROSSISTAに関してはこのまま取り上げられない可能性が大である。すなわち、NYTROやGAN GR/GRS DISK同様、日本で展開される可能性は極めて低いと考えられる。やはり、まだ日本のグラベルロードおよびシクロクロスは欧米ほどホットではないということだろうか。
もし購入を検討されている方がいれば、現状直接海外の取扱代理店に赴いて購入及び個人輸入する他ないと思われる。
【2018年12月2日追記】GREVIL+及びCROSSISTA+が日本でも発売されることが正式に発表された。
英語版公式サイトの発表から約1か月。ようやく日本でも販売されることが判明した。何はともあれ、グラベルファン、シクロクロスファンには朗報である。各部の詳細画像や価格については、下記の外部リンクをご参照のこと。
ピナレロ GREVIL+ あらゆる地形に対応するハイパフォーマンスグラベルロード – cyclowired.jp
ピナレロ CROSSISTA 最高峰カーボンを用い復活したレーススペックのシクロクロスバイク – cyclowired.jp